韓国から地域活動家の方々がやってきた!


5月29日、30日の2日間にわたり、韓国の地域活動家の方々、13名が淡路島にやってきました。
三善財団という、「地域若者活動家インターンシップ」と「若者農的進路ベースキャンプ」造成事業を主に行っている団体の主催で、韓国の農村部で地域に根を下ろし、メンターとして活動しているメンバーです。

今回の視察のきっかけは、厚生労働省の委託事業として2013年~2016年に実施した、地域の雇用創出を図るプロジェクト「はたらくカタチ研究島」。プロジェクトの様子は「地域×クリエイティブ×仕事:淡路島発ローカルをデザインする」という本として出版されており、韓国語の本にもなっています。

 

韓国語版の本を読んだ方の依頼で、スーパーバイザーを務めていただいた江副直樹さんがレクチャーのため韓国を訪問。
参加者の方から、はたらくカタチ研究島とその後について実際に見学したいと、ハタラボ島へ視察の依頼がありました。

韓国でも農村地域の過疎化は深刻な問題。最近では都会の若者たちが農村の移住について関心を持っており、地域でも若者を新しい住民として受け入れるべくさまざまな試みがなされているそうです。

 

淡路島での視察はノマド村からスタート!
ちょうどお昼どきだったので、しょくのわの神瀬さんにお弁当を用意していただきました。
淡路島の素材をメインに使った料理をひとつひとつ、紹介していきます。

 

 

ご飯の後は、淡路はたらくカタチ研究島のプロジェクトについてと、その後の継承事業であるハタラボ島の活動について説明させていただきました。

 

 

第一線で活躍する講師陣・行政とどうやってしくみを作っていったのか、地域の人とどう関わってきたのか、大事にしているポイントはどこなのか、難しかったことやうれしかったことは何か、など、本質をつくような質問がたくさん飛び交います。私たちもできるだけお応えしたいと思い、時間ぎりぎりまで熱いやりとりが続きました。

 

 

 

ノマドを出発した後、シマトワークスの徳重さんの案内で洲本へ。

2012年にはじまった、 「城下町洲本レトロなまち歩き」。イベント中の2日間は高齢化が進んで空き家や空き地になっていた場所にもたくさんのお店が立ち並び、アート作品、音楽、ダンスなども登場して、たくさんの人でにぎわいます。

 

 

オレンジのバックを持っている女性が「城下町洲本再生委員会」の野口さん。淡路島に唯一残る映画館「洲本オリオン」のオーナーであり、「城下町洲本レトロなまち歩き」を立ち上げました。“おふくろの味”を提供する定食屋さん「こみち食堂」も運営しています。

 

 

「城下町洲本レトロなまち歩き」をきっかけに「洲本レトロこみち」と呼ばれるようになったこの道は、築100年以上の町屋や古民家を改装した個性的なお店が並ぶようになりました。
この日は特別に、今からオープンに向けて改装予定の徳重さんのお店も見せてもらいました。

 

浴衣の生地を使った名刺入れやHAREGIプロジェクトのアクセサリーに興味津々。

韓国でも、農村部では古くなった空き家が多くあるそうですが、持ち主の方が貸すことは少ないそうで、たくさんあるお店を見て驚かれていました。

 

 

洲本の街歩きの後は、カネボウ紡績工場の跡地である洲本アルチザンスクエアへ。明治時代、港があったこの場所に埋め立て地を作り、工場を誘致し、インドなどから輸入した綿を糸にしていました。

日本の繊維業が衰退する40年ほど前まで操業していた工場の跡地は、今は図書館やレストラン、ショップ、市民が活用する公共施設など、古い煉瓦壁はそのままに、中は新しい空間となって活用されています。

 

昔の写真を見せながら説明をする徳重さん。

戦国時代に洲本城が築かれ、江戸時代の都市計画によって城下町を形成した洲本の町は400年近くの歴史があります。洲本城付近には高級店や武家屋敷が並び、通り町と呼ばれた現在の本町商店街の辺りには商人たちが集められ、洲本の発展と共に商業も発展しました。

 

次はその商店街へ向かい、次は淡路島アートセンターのやまぐちさんと中田さんに活動について説明してもらいました。

 

台風で崩壊した古民家の改装からはじまった、淡路島アートセンター。生まれ変わった古民家は日の出亭として今は映像会社のサテライトオフィスになっています。
使われなくなった公共の噴水をプールにしたプロジェクト、淡路島の北西部にある五斗長(ごっさ)に現代アート作品を設置し、森を歩き巡りながら体感する美術館五斗長ウォーキングミュージアム(淡路市)、洲本に伝わる化け狸の民話をモチーフにアーティストと地域が協働して創造する狸千年マツリプロジェクト(洲本市)、瓦の町津井で音楽家と一緒に瓦で音楽を奏でる「瓦の音楽」…淡路島を主なフィールドとし、さまざまなアートプロジェクトを行ってきました。

 

 

 

「アーティストは、向かうべき未来を指差してくれる人、クリエイターはカタチにして見せてくれる人。その土地にもともとあるものにスポットをあてて、新たな価値を一緒に創造していく、そして地域のひとびとととにかく楽しむこをと大事にしています。」と笑顔で語ってくれました。

 

 

夜は、先ほどの野口さんのお店こみち食堂で、おふくろの味を堪能!

 

 

朝ごはんは、レトロこみちにあるサンドイッチ屋さん、フクスケ亭のサンドイッチを大浜海岸で楽しみました。朝の海、すがすがしくて気持ちいい!

 

 

淡路島ツアーの最後は、釜口にある山田屋さんのガラスハウスのいちご園を訪問。
パッションフルーツがたわわに実り、いちごの香りがふんわり漂う中、お話を伺います。

事前に山田屋さんのことを調べてくださった参加者の方は、実際に会えた喜びと、空間の居心地の良さと香りに感動した、と気持ちを伝えてくれました。

 

 

いちごの観光農園をやりながら、ジャムのお店を持ち、地域とも関わって暮らす山田屋さん。
2012年に移住してきて、すぐの頃には「何を始めるのだろう?」と遠目で見られるような時期もあったけれど、農園としてちゃんと結果を出すことを大事にして続けてきました。お客さんがたくさん来るようになり、地域に活気がでてきた今では、地元のみなさんも応援してくれているのだとか。

 


韓国の農村地域でメンターとして活動するみなさん、農業、空間づくり、地域コミュニティに関わっているとのことで、真剣そのもの。

 

 

山田さんが地域で取り組んでいることの一つに、使われなくなって荒れてしまった畑を元に戻すこと。
どうするか、地元のみなさんと相談した結果、牛を飼って畑の草を食べてもらうことになったそうです。

牛たちがいる景色はなんとものどかで良いなと思っていましたが、畑の草を食べるという仕事をしてもらっていたんですね。

 

何年かかけて畑に戻した場所ですが、地域の人びとも高齢化が進んでいて、畑の活用まではできない。そこで今後の活用方法も考えているそう。近くに移住したイタリアンレストランのシェフがワインを作りたいということで、一緒にぶどうの栽培をはじめています。

 

またいちごのシーズン以外も農園を使えるようにするため、養蜂家、カフェ、農家、企画担当が関わって進めている「Farm Studio」というプロジェクトも紹介。
はちみつやスイーツ、ピール漬けなどの商品を開発したり、耕作放棄地を使って小麦を育てたり。まだまだこれからも新たな展開があるようです。

 

 

最後は参加者のみんなでパチリ。

 

韓国からはるばるお越しいただき、ありがとうございました!今度お会いでするのは、韓国?淡路島?どちらでしょうね。またお会いできるのを楽しみにしています。